DOLOMITE

ドロマイトって何?

石灰石とは


炭酸カルシウムを主成分とした堆積岩

石灰岩は、炭酸カルシウム[CaCO₃]を主成分とした堆積岩で、太古の石灰藻や珊瑚、貝殻、石灰質プランクトン等、 炭酸カルシウムで殻や骨格を構成する生物の屍骸が堆積・石化したものです。 グレートバリアリーフに代表されるサンゴ礁では今も石灰岩が生成されています。

石灰岩は工業資源としての価値が高く、古くから採掘されており、日本国内で唯一自給できる貴重な鉱産資源です。 津久見地区は世界有数の石灰の産地で、品質・有効埋蔵量 ともに世界トップクラスと言われています。 

使用用途としては肥料用、食品添加物用、上・下水道用、鉄鋼用、化学用、土木・建築用、公害防止用など幅広く使われていて、社会に貢献しています。 石灰は暮らしの中で欠かせない基礎素材です。
今日も石灰の性質を利用した新しい用途開発が活発に行われています。

石灰と農業


石灰、農業、宮沢賢治

人類は古くから石灰石を利用してきました。日本でもお城や蔵の白壁は石灰を用いた漆喰であることはよく知られています。

石灰が農業用肥料として本格的に利用されるようになったのは、大正から昭和初期にかけて軍馬を育成する牧草地用に炭カル(タンカル)が使用されるようになったことからです。

今日ではよく知られた「タンカル」ですが、その名付け親は「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」などの小説でよく知られている「宮沢賢治」です。昭和5年「東北採石工場」の技師となった宮沢賢治は、近隣の土壌は酸性が強く、石灰施用による土壌改良が必要だと考え、工場で製造していた石灰石粉を「肥料用炭酸石灰(タンカル)」と名付けました。

石灰肥料が宮沢賢治が目指す理想郷「イーハトーブ」づくりの一助となりえたかと思うと石灰に携わる仕事をする者として感慨深いものがあります。

石灰欠乏の原因


日本は火山灰土壌が多く、気候も温暖で雨量も多いので、塩基の流亡が激しいと言われています。この為、原野土壌の殆どが強酸性土壌であり、また耕地、特に畑地では石灰が施用されています。それでも、微酸性以上の酸性土壌が全国耕地の45%ときわめて多く、特に作物への障害が予想される強酸性土壌も8%に及んでいます。土壌の酸性化の原因は下記のような事が考えられます。

①雨による流亡

雨の多い日本国内では、雨による石灰等塩基の流亡が酸性化原因の20~30%を占めると推定されています。雨水は通常pH6程度と言われていますが、大気からCO2を吸収するので、土壌に侵入するとpHは一層低下します。

②生理的酸性肥料

施肥量が多いと、肥料成分が作物に吸収された後、土壌に酸性反応をしめさせる肥料が酸性化原因の50%と推定されています。たとえば、塩化物、硫酸塩は中性であっても硫酸や塩素イオンが残るので酸性化の原因になります。

③作物の吸収

作物の吸収による石灰の溶質で、土壌酸性化が20~30%程度を占めると推定されます。

石灰肥料の種類


ドロマイト(苦灰石)とは?

◇石灰石=limestone 、 苦灰石=dolomitestone

ドロマイトは石灰石が海水中で変容してカルシウム分とマグネシウム分が置換して生成したものです。 

石灰質肥料の中でも、石灰石を焼成し、二酸化炭素を分離したものを生石灰(CaO)と呼んでいます。
CaCO₃+熱分解(900度以上)→CaO+CO₂

またこの生石灰に水を加えて消化すると消石灰が生成します。
CaO+H₂O+(数百度の熱反応)=Ca(OH)₂

石灰石を乾燥、粉砕しふるいに掛けたものを炭酸カルシウムと呼んでいます。
CaCO₃
(肥料取締法)アルカリ分50%以上、1.6mm篩全通、600μm85%以上通過。

ドロマイト鉱石を乾燥、粉砕しふるいにかけたものを炭酸苦土石灰と呼んでいます。
CaCO₃・MgCO₃
(肥料取締法)MgO 5%以上、アルカリ分50%以上、 1.6mm篩全通、600μm85%以上通過。  

ドロマイト鉱石を焼成し、二酸化炭素を分離したものを苦土生石灰と呼んでいます。
CaCO₃・MgCO₃+熱分解(900度以上)→CaO・MgO+2CO₂

またこの苦土生石灰に水を加えて消化すると苦土消石灰が生成します。
CaO・MgO+2H₂O+(熱反応)=Ca(OH)₂・Mg(OH)₂

苦土石灰の利用


苦土(マグネシウム)と石灰(カルシウム)の役割

①肥料の5要素とは

肥料の5要素は、主要3要素である窒素、リン酸、加里に加え、4要素目のカルシウム、5要素目のマグネシウムです。

②マグネシウムの少ない土壌での野菜作り

マグネシウムは葉緑素の主成分であり、作物体内の成長の盛んな部位への移動がしやすく、マグネシウムが欠乏すると、古い葉が黄変し生育が阻害されます。

③土中のカルシウムやマグネシウムの状態

土の粒子は負(-)に帯電しており、(+)の電荷を持つカルシウムとマグネシウムが引き寄せられ吸着します。

④酸性土壌による影響は?

土の中のカルシウムやマグネシウムが減少してくると、アルミニウムやマンガンなどが溶けやすくなり作物に必要な養分の吸収や有効微生物の活動が抑えられます。

⑤苦土石灰の特徴

土壌と緩やかに反応し、効果が永続する。マグネシウムの効き方も緩効的で、安心してカルシウム、マグネシウム分の補給が可能です。

⑥有機農産物、有機農法への適合

苦土石灰は日本農林規格(JAS)に基づく有機農産物の生産に使用可能です。当社粒状はバインダーもリグニンスルホン酸を使用しており、有機JAS適合資材となっています。(廃糖蜜は不可)

⑦苦土石灰は副産石灰ではない

苦土石灰は、天然のドロマイト鉱石を原料としており、二次的に発生した副産品ではありません。土作りの基本は、まず、有機物の施用が第一です。有機物の肥効を高めるには苦土石灰の併用が有効で、安全で品質の良い作物生産に役立ちます。